一般的な国語指導法の問題点

大手進学塾での一般的な国語の指導方法は、

「生徒が各自で文章を読み、設問について講義形式で説明していく。」といったものです。

また、宿題として「長文読解問題をたくさん解いてくる」といったものも出されます。

この方法では、もともとできる人なら、さらに力がつくかもしれませんが、

苦手な人にとってはあまり効果がありません。

文の内容が理解できていないまま、設問に対するテクニックだけを学ぶことになるからです。

クラス指導だと、講師から見て各自がどれくらい文の内容を理解しているかはわかりませんが、

個別で指導をしていると、苦手な生徒は本当に内容がわかっていないことに気づかされます。

登場人物やその関係がわかっていなかったり、

当たり前の語句を知らなかったり、なかには、全く違う話として捉えていたりします。

その状態で、どれだけ設問の解法を教えたとしても、「うんうん」と表面上でしか理解できません。

しかし、文の内容をかみ砕いて、ていねいに教えてあげると、

自分だけである程度設問を解くことができます。

ですので、入試までに時間があるのでしたら、まずは正攻法として「文章の内容を理解する」ということを身につけていくべきです。

だからといって「本をたくさん読めばいい」

「長文問題をたくさんこなす」といった方法には、おおいに問題があります。

ある物語を読んだとして、その話本来の読み取り方ができているとは限りません。もしかしたら、全く異なった捉え方をしているかもしれません。

そのような状態でたくさん読んでも、あまり効果は見込めません。

読解力をつけるには

まずは一文(句読点から句読点まで)の理解から

国語が苦手な生徒は主語・述語がはっきりとわかっていないことが多いです。

「今日は先生にしかられたので、僕も太朗君と一緒に校庭を走った。」

この文をできるだけ短くまとめると(要約すると)、「僕も走った」です。つまり主語・述語になります。

どれだけ複雑な文章でも主語と述語がわかれば、勘違いすることなく大まかに内容を捉えることができます。

そこからさらに、「どの語句がどの語句を飾っているか」も学習していきます。

語句を身につける

ある程度国語力があると、多少わからない語句があっても、前後の文脈や、「以前、あのような場面で出てきた。」という記憶を頼りに、意味が予想できます。

しかし、苦手な人は、わからない語句があまりにも多すぎたり、前後から予想させても全く的外れな予想になります。

まずは市販されている「これだけは覚えたい1000個の言葉」のような本で覚えましょう。できれば、その語句を使って例文を作らせるか、例文を教えてあげた方がよいです。

また、そういった本には載っていない、一般常識や知識事項の語句も覚えなければなりません。「おおみそか」「いろり」「街灯」など、当たり前のような言葉を知らなかったりします。

これらは生活の中で覚えるものなので、改まって勉強するのは大変ですが、子供にもわかりやすいテレビ番組(子供ニュース・林 修さんや池上 彰さんが出演する番組など)を見せたり、小学生新聞を読ませるのが良いです。

ただし、勝手に見せるだけではいい加減になるので、感想を話し合ったり、確認することが必要です。

長文読解を効果的に演習するには

ただ繰り返すだけでは効果が出ません。

子どもが「国語力を付けて、成績をあげたい」と思っていても、「そのためなら、いくらでも頑張る」とは限りません。たくさんの宿題を出せば、とりあえず形だけでも仕上げるために、文をまともに読まずに、いい加減に演習するかもしれません。

少なくとも、「文をじっくりていねいに読んで、設問をしっかりと考えて解く。」という、最も重要なことは、なかなかしてくれないでしょう。

しっかり読んでもらうには

文を読む前にあらかじめ「後で登場人物を聞く」「文の内容を簡単に説明してもらう」と言っておきます。ただ読むだけではなく、「文の内容を頭に残しておく」ということを意識して読んでもらわなければなりません。

「読み方」で重要なこと

文の読み方で大切なことは、「わからなくなってきたら、わかっていたところまで戻って、そこから読み直す。」ということです。わからないまま読み進めても、途中からわかることはありません。

最初は時間がかかってでも「最後まで、ちゃんとわかっている状態で読み通す」ということが大事です。

解説の仕方

生徒が解き終わったら丸付けをして解説をするわけですが、間違えた問題に対して「これは、傍線部のすぐ前を探せばよい」とか、「この選択肢は、・・の部分がおかしいから違う」等と説明する前に、まず確かめるべきことがあります。

それは、生徒が文章を理解しているかどうかです。

文の内容が全くわかっていないのに、いくら設問について説明しても力がつきません。その場合は、まず文章をかみ砕いて説明していかなければなりません。

設問の解説は、ある程度、文が読めるようになってからです。

さらにレベルアップするには

少し難しめの文章を読む

目標とするテストや、志望校の過去問の文章より少し難しめの長文をたくさん読んでおくと、本番で文章が易しく感じます。

その際、「文だけたくさん読んで、設問は解かなくても良い」「短期間に集中して読む」と効果的です。

入試に出る文章を読む

市販の問題集で「入試に頻出する作品集」のようなものがあります。色々な中学校で繰り返し出題されている題材を読んでおけば、入試や模試で同じ文章が出題される可能性もあります。